それぞれの役割や働く際のポイントを徹底解説
人材を探すというタスクは、ビジネスの成功を左右する重要なプロセスです。
しかし、この重要な選択を自社で行うのは時に困難で、多くの企業は外部の専門機関にその任務を委託します。
それこそが、人材紹介会社と人材派遣会社の役割です。
しかし、これら2つのサービスは、同じ目的を追求しながらも、その手法と特性には大きな違いがあります。
そこで本記事では、これらの違いをポイントを交えながら詳しく解説します。
人材紹介会社
人材紹介会社は、企業が直接雇用するための人材を紹介するサービスです。
人材紹介会社は候補者のスキル、経験、資格などを評価し、それらが企業のニーズと合致するかどうかを判断します。
紹介された候補者が企業に採用されると、通常、人材紹介会社は成功報酬を受け取ります。
人材紹介会社の特徴
- 直接雇用するため、長期的な雇用関係を築くことが可能。
- 求職者のスキルや経験を精査し、企業のニーズに最も適した候補者を提供する。
- 高度なスキルや特殊な資格を持つ人材を探すのに適している。
人材紹介の形態について
人材紹介のサービスは様々な形態を取ります。
以下にその主な種類を挙げます。
エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)
エグゼクティブサーチ、またはヘッドハンティングとは、特に高位の経営職などの専門性や経験が求められるポジションを対象とした人材紹介の形態です。
ヘッドハンターは通常、そのような役職に適合する可能性がある候補者を積極的に探し出し、直接コンタクトを取ることで求職意欲を探ります。
一般的な人材紹介
一般的な人材紹介は、各種の業種や職種を対象としています。
求職者は自分のスキルや経験、希望する職種を紹介会社に登録し、紹介会社はその情報に基づいて適切な職を探します。
紹介会社は通常、登録者に対する職の紹介とともに、面接の準備や履歴書の作成などのサポートも提供します。
特化型人材紹介
特化型人材紹介は、特定の業界や職種に特化した形態の人材紹介です。
IT、金融、医療、法律など、特定のスキルや知識が必要な業界においてよく見られます。
これらの紹介サービスは、その業界の特性や需要をよく理解しているため、高度なスキルを持つ求職者と求人企業を効果的にマッチングさせることが可能です。
フレッシュグラジュエイト向け人材紹介
フレッシュグラジュエイト向け人材紹介は新卒者や早期のキャリア段階にある若者を対象としたサービスです。
紹介会社は、求職者がキャリアをスタートするのに最適な企業や職を見つけるのを助け、また企業は新しい才能を見つけるのに利用します。
人材派遣会社
人材派遣会社は、企業が特定の期間またはプロジェクトのために一時的な労働力を必要とする場合に利用します。
派遣会社が労働者を雇い、その労働者を他の企業に派遣します。
派遣労働者は派遣会社の従業員であり、派遣先企業はその労働力を一時的に利用します。
人材派遣会社の特徴
- 短期的な需要や一時的なプロジェクトに対応するための労働力を提供する。
- 長期的な雇用を約束することなく、企業が労働力を増やすことが可能。
- 短期間で労働力を確保するのに適している。
人材派遣の形態について
一般労働者派遣
これは最も一般的な形式の人材派遣で、企業が一時的に労働力を必要とする場合に用いられます。
派遣期間や労働時間は柔軟に設定可能で、企業の状況に応じて変更することもできます。
専門職派遣
専門職派遣は、特定のスキルや専門知識を必要とする職種で活用されます。
これにはITスキル、会計スキル、医療スキルなどが含まれます。企業は特定のプロジェクトや業務に専門家を必要とする場合に、このタイプの派遣を利用します。
登録型派遣
登録型派遣は派遣労働者が自分自身のスキルや利用可能な時間に基づいて仕事を選ぶことができる派遣形態です。
これは労働者が柔軟な働き方を望む場合や、特定の時間帯だけ働きたい場合に適しています。
製造業派遣
製造業派遣は製造業に特化した人材派遣の形態です。
一時的な労働力の増加を必要とする場合や、季節的な需要の変動に対応するために使用されます。
派遣労働者の直接雇用型派遣(トライ&ハイア)
この派遣形態は一定期間派遣労働者として働いた後に、派遣先企業がその労働者を直接雇用することを目指します。
企業が候補者のスキルや適合性を評価するための「試用期間」のようなものです。
それぞれの流れ
それぞれのサービスは企業が求めるニーズによって選択されます。
人材派遣を利用して一時的に労働力を補う一方で、長期的な雇用のための候補者を人材紹介会社に依頼する、といった両者を組み合わせて使用するケースもあります。
以下が人材紹介と人材派遣におけるそれぞれ一般的な流れになります。
人材紹介会社
1 企業のニーズの把握
企業は人材紹介会社に自社のニーズ、求める職種、必要なスキル、経験、資格などを伝えます。
2 求職者の探索
人材紹介会社は自社のデータベースやネットワークを使用して、該当する求職者を探します。
3 求職者の選定と紹介
人材紹介会社は求職者のスキルや経験を評価し、企業のニーズに最も適した候補者を選び出します。
そして、 対象となる候補者を企業に紹介します。
4 面接
企業は紹介された候補者と面接を行い、適性を評価します。
5 採用
面接の結果、企業が候補者を採用すれば、人材紹介会社に成功報酬が支払われます。
人材派遣会社
1 企業のニーズの把握
企業は人材派遣会社に自社のニーズ、求める職種、必要なスキル、期間などを伝えます。
2 労働者の選定と派遣
人材派遣会社は自社のデータベースから適切な労働者を選び、企業に派遣します。
3 派遣期間
労働者は指定された期間、またはプロジェクトが完了するまで企業で働きます。
4 派遣期間終了
期間が終了すると労働者は通常、派遣会社に戻ります。
ただし、企業が労働者を直接雇用することを選択することもあります。
働くメリットとデメリット
人材紹介会社と人材派遣会社で働く上での異なるメリットとデメリットがあります。
何を求め、どのようなキャリアパスを望むかによって、最適な選択肢が変わるかもしれません。
人材紹介会社で働くメリット
- 多様な業界の知識
さまざまな業界や職種についての深い理解を得られます。
さまざまな企業や候補者と接することで、業界全体の動向や求められるスキルセットについての理解を深めることができます。 - 人脈構築
企業と候補者の両方と深く関わるため、広範で価値のあるネットワークを構築できます。 - 達成感
適切な候補者を見つけ、企業が成功を収めるのを助けることは大きな達成感をもたらします。
人材紹介会社で働くデメリット
- プレッシャー
成功報酬型のビジネスモデルのため、適切な候補者を見つけるためのプレッシャーがあります。もちろん成功しなければ報酬が得ることはできません。 - 候補者と企業のギャップ
企業の要求と候補者の能力・希望との間にギャップが生じることがあります。
それを埋めるためには、高度なコミュニケーションスキルと調整能力が求められます。
人材派遣会社で働くメリット
- 職種の多様性
様々な企業や業界、職種で働く機会があります。
これにより、さまざまな経験を積むことができます。 - フレキシブルな働き方
短期間で様々な職場を経験できるため、自分に合った働き方を探すのに有利です。 - スキルの習得
さまざまな業界や職種で働くことにより、広範なスキルと知識を身につけることができます。
人材派遣会社で働くデメリット
- 雇用の不安定性
一時的な雇用であるため、派遣契約が終了した後の雇用の安定性に不安を感じることがあります。 - キャリアパスの不明瞭さ
短期的な職務が多いため、長期的なキャリアパスが不明瞭であることがあります。
一貫したキャリアの進行が難しい場合もあります。 - 福利厚生の限定性
一部の派遣会社では、正社員と比べて福利厚生が制限されていることがあります。
(例えば保険や退職金などが挙げられます)
求職者が利用するのに費用はかかる?
通常、求職者が人材紹介会社や人材派遣会社のサービスを利用する際に料金が発生することはありません。
これらのサービスは企業から報酬を受け取ることでビジネスモデルを成り立たせています。
人材紹介会社は求職者を企業に紹介し、その結果として企業がその求職者を採用した場合にのみ、企業から報酬を受け取ります。
一方、人材派遣会社は求職者を派遣する企業から料金を受け取り、その一部を派遣労働者に給与として支払います。
まとめ
人材紹介と人材派遣は、どちらも企業と求職者をつなげる重要な役割を果たしますが、その方法や特性には大きな違いがありました。
人材紹介会社は企業と求職者を永続的に結びつけることを目指しています。
一方、人材派遣会社は一時的な労働力を提供することを目指します。
これらはキャリアコンサルタントが求職者のスキル、経験、そして目指す職業を考慮し、その選択肢を広げるためにも用いられます。
これらのサービスを利用する際には、それぞれの規定や方針をしっかりと確認し、自分のニーズに最も合致するサービスを選択することが重要です。
これにより、求職者のキャリアの成功につながる可能性も高まるでしょう。
今回の記事がキャリアコンサルタントとして働く方やキャリアコンサルタントを目指している方の一助となれば幸いです。